心アミロイドーシス
心アミロイドーシスとは
心アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が心臓の筋肉に沈着する病気です。
アミロイドは、もともと体内に存在するタンパク質が構造異常を起こし、線維状に変化して臓器に沈着することで発症します 。
このタンパク質が心臓にたまると、心臓の壁が厚く硬くなり、血液を送り出すポンプ機能が障害されてきます。その結果、心不全(心臓の働きが低下する状態)を引き起こします。
以前は非常にまれな病気と考えられていましたが、近年は診断技術の進歩により、高齢者の心不全の原因として比較的多く存在することがわかってきました。
近年は新しい治療薬も登場しており、早期に診断することで治療が可能な病気として注目されています。
目次
1 心アミロイドーシスの主な症状
心アミロイドーシスでは、次のような症状がみられます。
・息切れ
・足のむくみ
・疲れやすい
・動悸
・めまい、失神
また、心臓以外の症状として
・手根管症候群(手のしびれ)
・腰部脊柱管狭窄症
などが心臓の症状よりも前に現れることがあります。
2 心アミロイドーシスの種類
心アミロイドーシスの原因となるタンパク質はいくつかありますが、主に次の2つが重要です。
ATTRアミロイドーシス
トランスサイレチン(TTR)というタンパク質が原因となるタイプです。
さらに2つのタイプがあります。
野生型ATTR(ATTRwt)
加齢に伴って発症するタイプで、高齢男性に多くみられます。
遺伝性ATTR(ATTRv)
トランスサイレチン遺伝子の変異によって起こる遺伝性の病気です。
ALアミロイドーシス
免疫グロブリン軽鎖というタンパク質が原因となるタイプです。
骨髄の形質細胞が異常なタンパク質を作ることで起こり、
・心臓
・腎臓
・肝臓
・神経
など、全身の臓器に障害を起こすことがあります 。
この2つは治療方法が大きく異なるため、正確に診断することが重要です。
3 心アミロイドーシスを疑うサイン
次のような特徴がある場合、心アミロイドーシスの可能性を考えることがあります。
・原因不明の心不全
・心臓の壁が厚い(心筋肥大)と言われた
・高齢で発症した心不全
・手根管症候群の手術歴がある
・心電図の電位が低い
・大動脈弁狭窄症を合併している
このような特徴がある場合は、詳しい検査を行います。
4 心アミロイドーシスの検査について
心アミロイドーシスが疑われる場合、次のような検査を行います。
・心電図
・心エコー検査
・血液検査
・心臓MRI
・核医学検査(心筋シンチグラフィ)
・必要に応じて組織検査(生検)
特に近年は、ピロリン酸シンチグラフィなどの核医学検査により診断できるケースも増えています 。
5 心アミロイドーシスの治療について
心アミロイドーシスの治療は、原因によって異なります。
ATTRアミロイドーシス
トランスサイレチンを安定化させる薬により、病気の進行を抑える治療が可能です。
ALアミロイドーシス
異常な免疫グロブリンを作る細胞を抑える治療(化学療法など)を行います。
また、どのタイプでも
・利尿薬などによる心不全治療
・不整脈治療
なども必要に応じて行います。
6 心アミロイドーシスは見逃されやすい病気です
心アミロイドーシスは、次の理由で見逃されることがあります。
・高齢者の心不全として扱われる
・心筋肥大として診断される
・症状がゆっくり進行する
しかし近年は治療の選択肢が増えているため、早期診断が非常に重要です。
7 当院の特徴
当院は心アミロイドーシス治療薬導入施設に認定されています。
野生型ATTRアミロイドーシス(リンク)に対して、日本国内で現在保険適用となっている3種類の治療薬すべてに対応しており、いずれも処方および治療経験があります。
患者さんの病状や進行度に応じて、適切な治療方針をご提案いたします。
他院で心アミロイドーシス、またはその疑いがあると指摘された方で、当院での検査や治療をご希望の方は、下記の「受診・ご紹介方法」ページをご参照ください。
8 医療従事者の皆様へ
心アミロイドーシスが疑われる患者様がいらっしゃいましたら、当院循環器内科までご紹介ください。
心エコーや核医学検査などを含めた評価を行い、診断および治療方針の検討を行います。
診断のみのご依頼や、診断後の併診・逆紹介にも対応しております。
ご紹介方法については、以下のページをご参照ください。
https://cardiovascularcenter.luke.ac.jp/neighboring_medical_facilities/
9 よくある質問(FAQ)
心アミロイドーシスは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が心臓の筋肉に沈着する病気です。
このタンパク質が心臓にたまると心臓の壁が硬くなり、血液をうまく送り出せなくなるため、心不全の原因となります。
心不全は「心臓の働きが低下した状態」を指す言葉で、原因はさまざまです。
心アミロイドーシスは、その心不全の原因のひとつです。
心筋梗塞や弁膜症などと同じように、心不全を引き起こす病気の一つと考えるとわかりやすいです。
以前は非常にまれな病気と考えられていましたが、近年は検査技術の進歩により、高齢者の心不全の原因として比較的多いことがわかってきました。
特に高齢男性の心不全では、一定の割合で心アミロイドーシスが見つかることがあります。
心アミロイドーシスにはいくつかのタイプがあります。
・加齢に関連して発症するタイプ(ATTR野生型)
・遺伝子変異によって起こるタイプ(遺伝性ATTR)
・血液の病気に関連するタイプ(ALアミロイドーシス)
このうち遺伝する可能性があるのは一部のタイプのみです。
必要に応じて遺伝子検査を行うことがあります。
心臓にアミロイドが沈着すると、次のような症状がみられます。
・息切れ
・足のむくみ
・疲れやすい
・動悸
・めまい、失神
また、手のしびれ(手根管症候群)や神経症状が、心臓症状より先に現れることもあります。
次のような検査を組み合わせて診断します。
・心電図
・心エコー検査
・血液検査
・心臓MRI
・核医学検査(心筋シンチグラフィ)
・必要に応じて組織検査(生検)
最近では、核医学検査によって心臓の組織を採取せずに診断できる場合もあります。
近年、心アミロイドーシスの治療は大きく進歩しています。
原因となるタイプによって
・アミロイドの形成を抑える薬
・原因タンパク質を作る細胞を抑える治療
・心不全に対する治療
などを組み合わせて治療を行います。
病気のタイプや進行度によって異なりますが、完全に消失させることが難しい場合もあります。
しかし近年は病気の進行を抑える治療が可能になってきており、早期診断・早期治療が重要です。
心臓の壁が厚くなる原因には
・高血圧
・肥大型心筋症
・心アミロイドーシス
などがあります。
同じ心肥大でも症状や経過、心電図や心エコーの所見によって心アミロイドーシスが強く疑われる場合とそうでない場合があります。
原因を正確に調べるためには、専門の循環器内科医による評価が重要です。
はい。心アミロイドーシスは
・高齢者の心不全
・高血圧性心肥大
として診断されることがあり、見逃されることもあります。
しかし近年は治療が可能な病気になってきているため、疑われる場合は詳しい検査を行うことが重要です。
このような方はご相談ください
・原因不明の心不全がある
・心臓が厚いと言われた
・高齢になってから心不全を発症した
・手根管症候群の手術歴がある
・息切れやむくみが続いている