PFO閉鎖術
(経皮的卵円孔開存閉鎖術)

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経皮的卵円孔開存閉鎖術

脳卒中を予防するための“心臓”カテーテル治療

経皮的卵円孔開存閉鎖術とは?

―若くして脳梗塞と診断されたのに原因が不明?―

原因不明の脳梗塞を潜因性脳梗塞といいます。この潜因性脳梗塞の中に、(厳密には原因不明だが)おそらく“卵円孔開存”が関係したと考えられる脳梗塞をきたした方がいます。

卵円孔開存は心臓に空いている小さな穴です。この穴は赤ちゃんのとき生まれる前は全員に空いておりますが、多くの方で出生後に閉鎖します。約4人に1人の頻度で大人になってもこの穴が閉鎖せず開いたまま(卵円孔開存)の方がいるとされております。若年者などでこの卵円孔開存が脳梗塞の原因となることが報告されており、機序としては下肢などの静脈にできた小さな血栓が卵円孔開存を通過して動脈系に混入し脳梗塞などの塞栓症を起こすことが考えられています。

“卵円孔開存閉鎖術”はこの卵円孔開存という心臓の穴を閉鎖栓で挟むように閉じて血栓などが血流に乗って通過しないようにすることで脳梗塞の再発を予防する治療になります。この治療はカテーテルを用いた治療になり、全身麻酔で行いますが、傷は小さく、翌日から歩いて頂くことが可能です。この経皮的卵円孔開存閉鎖術は脳梗塞になったことがある人の“再発”予治療になります(二次予防のみ可)。

経皮的卵円孔開存閉鎖術の流れ

外来で卵円孔開存の診断を確実にするために経食道心エコーや点滴をしながらの経胸壁心エコー(コントラスト心エコー)を追加することがあります。通常は治療の前日に入院します。カテーテル治療は全身麻酔の後に、太ももの付け根の静脈からカテーテルを出し入れするためのシース(プラスチックの管)を挿入します。その管から右心房と左心房を仕切っている心房中隔までガイドワイヤーを進め、卵円孔開存を通過させます。ガイドワイヤーに沿わせて約4mm径のガイドカテーテルを左心房内から左心房に挿入します。ガイドカテーテルを通して、閉鎖栓を左房まで持ち運び挟み込むように置いて卵円孔を閉じてしまいます。カテーテルを抜き、治療は終了となります。翌日から歩いて頂けます。術後の状態を確認し、翌々日退院となります(通常入院期間:3泊4日)。

経皮的卵円孔開存閉鎖術のメリット

経皮的卵円孔開存閉鎖術を受け必要に応じて抗血栓薬を続けた場合、卵円孔を閉鎖せずに抗血栓薬だけによる治療を続けた場合に比べて、約3~6年後の脳梗塞の再発率が低下する効果があると報告されております。予防治療になりますので効果を実感することは難しいですが、治療後は将来的な脳梗塞の再発率は下がっているはずです。治療後も原則的には抗血小板薬の服用は続けますが、治療の約6か月~1年後以降に脳神経専門医と相談して中止する場合もあります。

どのような方に経皮的卵円孔開存閉鎖術は有効か?(適応)

 “潜因性脳梗塞(原因不明の脳梗塞)”を診断された方が対象になります。高齢になりますと動脈硬化や心房細動による脳梗塞の頻度が高くなるので、原則的には60歳未満の方が対象となります。“卵円孔開存”を有していることがカテーテル治療の前提になりますが、若年で脳梗塞を診断された方で卵円孔開存の有無を確認されていない方もご相談いただけます。また、卵円孔開存を介した脳梗塞は原因となる塞栓子が卵円孔開存を通過して発症すると考えられております。急に立ち上がったときなどお腹に力が入ったときに卵円孔開存を塞栓子が通過しやすくなりますので、このようなときに脳梗塞を発症した方では卵円孔開存に起因していた可能性があります。また、片頭痛は卵円孔開存との関連性がありますので、“目の症状を伴う片頭痛をお持ちの若年脳梗塞患者さん”は卵円孔開存の有無を確認する検査が勧められます。

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聖路加国際病院の強み

診療科間の連携

脳卒中専門医を含む脳神経の専門医とブレインハートカンファレンスを開催しております。本治療は脳卒中の予防治療であり、脳梗塞の原因やリスクなどを含めて治療方針を考える必要があるため、脳神経系のエキスパートオピニオンが反映されやすい体制をとっております。また、手術のリスクの高い患者さんを対象にする上で、併存疾患の管理は必要不可欠です。当院では、多くの診療科が揃っており、診療科間の連携を大事にしているため、心臓疾患以外の疾患に対しても、安心して専門的なサポートを受けることができます。

全室個室を特徴とする安全・安心・快適な療養環境

術後の経過が良好であれば手術翌日には一般病棟に移りますが、当院は一般病棟が全て個室になっており、静かな環境でリラックスした入院生活が可能です。ご自身のプライバシーが守られるのはもちろんのこと、他の患者さんからの感染リスクを低減することができる、安心・安全な環境を提供します。

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