QFR(負担の少ない冠動脈の血流評価方法)

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患者さんに負担の少ない冠動脈の血流評価方法: QFR (Quantitative Flow Ratio)

心臓に血液を供給する血管(冠動脈)は動脈硬化で狭くなることがあります。この病変をカテーテル治療で広げる必要があるかどうか(ステントを留置すべきかどうかについては、従来、血流(圧)を測定する特殊なワイヤーを直接冠動脈病変に挿入することで評価する必要がありました。

冠動脈が狭くなっているとき、その下流にある心臓の筋肉(心筋)への血液の供給が滞ると問題になります。その程度が重度であると血流を改善させる治療の必要性が高まりますが、心臓の血流を調節している体の仕組みは複雑で、これをカテーテル検査で得られる画像上の「見た目」だけで判断することは難しいことが分かっています。このようなことから、狭くなっている冠動脈の病変にステントを留置すべきかどうかは、「見た目」ではなく「血流の低下率」によって決めることが適切であると考えられています。しかし、この血流を測定するためには通常のカテーテル検査(冠動脈造影検査)の他に追加の検査をする必要があります。この追加の検査はFFR検査といって、特殊なワイヤーを使って狭くなっている病変の前後で血管内の圧を測定し、病変によってどれだけ血流が低下しているかどうかを検査します。

しかしFFRを測定するにあたって特殊な薬剤を投与する必要があることや冠動脈内にワイヤーを挿入することによって、少ないながらも患者さんに合併症が生じるリスクがあることが知られております。

そこでこの従来のワイヤーを使った血流測定に代わる代替方法として開発されたのが、QFR (Quantitative Flow Ratio)という冠動脈の血流解析ソフトウェアです。QFRは2方向から撮影されたカテーテル検査画像を組み合わせることによって、コンピューター上で冠動脈の3次元モデルを作成し、狭窄の前後で血流がどのくらい低下しているかを非常に高い精度で解析することが可能になっています。

世界各国で多くの研究が行われ、「QFRは冠動脈への治療の必要性を安全かつ正確に決めることができる」という報告が多数されています。ヨーロッパでは2017年から実用化され、日本でも2024年1月に保険承認を受けました。そして当院では同年2月に導入を果たし、国内1例目の患者さんをお迎えいたしました。

当センターでは複数の条件が適した患者さんに対してこのQFRを施行しており、より安全に冠動脈の血流評価ができております。現時点では使用可能な条件をやや厳密にしており、全ての患者さんに使用できるわけではありませんが、希望があれば担当医にお尋ね下さい。

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