虚血性心疾患 − 検査について

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虚血性心疾患の診断には、「どのような症状か」、「症状が起きるきっかけ」、「糖尿病や慢性腎臓病などの背景疾患」などの情報が重要です。私達はこれらの情報をもとに個々の患者さんにとって適切な検査方法を検討し、それを提案しています。

運動負荷心電図

運動をしながら心電図を測定する検査、比較的簡便で、放射線被爆、薬剤投与などの負担がありません。

トレッドミル(スポーツジムのランニングマシーン)の上で歩いて(場合によっては早足で歩いて)、運動中の心電図の変化を確認し、虚血性心疾患の有無を推定することが出来ます。この検査は簡便な検査であり、薬剤や放射線被曝などがない反面、精度は他の検査と比べてやや劣るところがあるため、状況に応じて検査を選択していきます。

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冠動脈CT (FFRCT)

心臓の血管(冠動脈)が狭くなっている箇所に加えて、動脈硬化の程度と性状を可視化することができる、比較的簡便かつ精度の高い検査です。 CT(コンピュータ断層撮影)を使用して冠動脈を画像として確認する検査です。冠動脈CTは装置の発達により、径2-4mm程度の細い冠動脈の状態を明確に描出することが可能であり、冠動脈のどの部分に問題があるかなどひと目で分かることが出来ます。また血管が狭くなっているかどうかが分かることに加えて、冠動脈に存在するプラークの性状(噴火しやすいプラークか、石灰化のつよいプラークか)も同時に知ることが出来ます。この検査は一定量(他の臓器のCT検査と同等かそれ以下)の放射線被曝があるものの、患者さんの苦痛をともなうことも少なく、その診断の精度の高さから世界的に使用が拡大している検査です。

またこの検査は、三次元(3D)構成したCT画像にコンピューターを用いた血流シミュレーションを行うFFRCT検査を追加することができます。FFRCT検査では、画像上狭い血管で実際に血流低下を起こしているかどうかを調べることができ、カテーテル検査など更に踏み込んだ検査に進む必要があるかの判断材料になります。

詳しくはこちらをご覧ください。

冠動脈CT検査は動いている心臓を撮影するため、特殊なCT装置を必要とし、撮影前に脈拍を遅くさせる薬剤を内服して準備を行います。また、原則造影剤を使用する検査であるため、ヨード系造影剤にアレルギーがある患者さん、腎機能が高度に低下した患者さんには施行することが出来ません。

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心筋シンチグラフィー(SPECT)

心臓の血管(冠動脈)の動脈硬化により血流低下にさらされている心臓の筋肉(心筋)の範囲を)確認できる検査で、高度に腎機能低下のある患者さんでも安全に受けることが出来る検査です。

運動負荷や薬剤負荷を行った状態で放射性同位元素を注射で投与して、心筋(心臓の筋肉)の血流の取り込みを確認する検査です。冠動脈が狭く、血流低下(虚血)にさらされている心筋の範囲が広ければ、血流を改善させるカテーテルの治療やバイパスの治療が治療選択になることがあります。この検査は通常、1日で負荷後と安静時の2回の画像検査を行います。冠動脈CTと同程度の被曝量(実効線量 約8mSV)がありますが、造影剤を使用しない利点があります。このため腎機能が高度に低下した患者さんにも施行できる検査です。

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心臓MRI検査

放射線被爆のない検査で、心臓の血管(冠動脈)を可視化することができ、心臓の筋肉(心筋)の情報も得ることができます。

心臓に対するMRI検査は心筋を見るものと冠動脈を見るもので異なりますが、冠動脈をみる冠動脈MRI検査(MRA)は、造影剤も使用せず、放射線被曝もありません。一方で画像精度が冠動脈CTと比べ低下するため、状況に応じて検査を選択します。

また、冠動脈が狭くなり血流が落ちて心臓の筋肉(心筋)の血流の取り込みが悪くなっていないかを確認するパーフュージョンMRIという検査もあります。また、心筋梗塞などで心筋細胞がどの範囲まで死んで(壊死して)しまったどうか確認することもできます。これらの検査はMRI用のガドリニウムを使用した造影剤を使用します。

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冠動脈造影検査(カテーテル検査)

心臓の血管(冠動脈)の状態を把握する上で最も正確な検査であり、虚血性心疾患がある可能性が高い患者さんが受ける検査です、当院では「日帰り」か「1泊2日の入院」で施行可能です。

当院での検査・治療の流れについて詳しくはこちらをご参照ください。

上記の検査で虚血性心疾患が疑われる場合や、急性心筋梗塞の場合など上記の検査を行わずとも高い確率で虚血性心疾患が疑われる場合、この疾患の有無を確認するためにカテーテルによる冠動脈造影検査を行います。冠動脈造影検査で使用するカテーテルとは、径1.3–1.7mmの筒状の長いチューブで、多くは手首の血管(動脈)から血管の中を通して心臓まで到達させ、冠動脈の入り口に挿入します。カテーテルから造影剤を冠動脈に注入し、X線を用いた透視画像で冠動脈の状態を確認します。この検査は、カテーテルを直接冠動脈に挿入し造影する検査であるため、CTやMRIによる冠動脈の画像検査よりも画像の精度が高く、より正確に冠動脈の状態を確認することが出来ます。

また、カテーテル検査には、狭くなっている冠動脈の病変で血流がどれくらい低下しているかを測定するFFRという検査があります。血管が狭くなっていても血流が維持されていれば、十分に心臓に酸素と栄養が供給されており、このような場合はカテーテル治療を行って血管を広げる必要はない(治療を行っても効果が得られない)ということが分かっています。このようなことから、中等度に狭い冠動脈病変があった場合、FFR検査でカテーテル治療の必要性を検討することは非常に重要な検査になります*。FFR検査ではプレッシャーワイヤーという圧センサーが搭載された細い(0.36mm)ワイヤーを冠動脈の病変に通過させ、測定された冠動脈内の圧を用いて、血流低下の度合いを専用の機械(コンソール)で計算します。

当センターでは、カテーテル検査は「日帰り」もしくは「1泊2日の入院」、で行っております。日帰りの場合は、朝来院し、昼過ぎに帰るようなスケジュールになります(日帰りでの治療は行っておりません)。

*造影検査で高度に狭くなっている(90%以上の狭窄)場合は、血流が低下していることが明らかなでこのような検査を行わないことがあります。またFFRCT検査、心筋シンチグラフィーやパーフュージョンMRIなどで冠動脈の血流低下(虚血)が確認されている場合、通常FFR検査は行ないません。

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