石灰化の強い病変を安全に治療するショックウェーブ(IVL)

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 狭心症などの虚血性心疾患の治療の1つに経皮的冠動脈形成術(カテーテル治療)があります。カテーテル治療は一般的に冠動脈が動脈硬化で狭くなってしまったところを、バルーンやステントなどを用いて広げて血流を回復させる治療です。

 動脈硬化はコレステロールなどの柔らかい部分の他に、石灰化といって、血管の壁にカルシウムが沈着して硬くなってしまう部分があります。石灰化が強く硬い病変では、通常のカテーテル治療(バルーンやステント)のみでは、十分に血管が広げることが困難で、血管が十分に広がらないまま、ステントを留置してしまうと、治療した場所が再び狭くなってしまったり、急に詰まってしまい心筋梗塞を起こすことがあります。

 これまで石灰化が強い病変には、ロータブレーターやダイアモンドバックという歯科治療のドリルのようなもので石灰を削る治療を行なっていました。しかし、これらの治療はドリルが血管を傷つけてしまうことや、削った細かい粒子が血管の下流で目詰まりし血流が滞ってしまう合併症が問題で、比較的高度な技術を要します。しかし、近年このような石灰化の強い病変を安全に治療できるショックウェーブカテーテルという新しい治療デバイスが開発されました。

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 ショックウェーブカテーテルは、従来の石灰を削る治療とは異なり、ユニークな原理で石灰化病変の治療を可能にします。衝撃波(音圧波:sonic pressure wave)を発するバルーンが石灰に無数の細かい亀裂を入れ、石灰化の強い病変を柔らかくします。このデバイスを使用した後は、通常のバルーンで十分に血管を広げることができ、治療時間も飛躍的に短縮することが可能になりました。また、この衝撃波は正常な柔らかい部分にダメージを与えることや、細かい粒子が血管の下流に流れることがなく、これまで問題であった治療のリスクが大きく軽減されました。ショックウエーブカテーテルにより、従来困難であった病変に対しても、安全に適切な治療を行うことが期待できます。しかし、石灰を削るロータブレーターを用いて治療を行うことが適切である場合もあります。

 当院は2023年12月にショックウェーブカテーテルを導入しました。当院ではカテーテル治療前にチームで十分に治療方法を議論・検討を行い、さらに治療中にも血管内画像等を参考にしながら、最適と判断できる治療機器を選択してまいります。

石灰化の強い血管を内部から近赤外線を用いて(OFDI)観察した画像 。分厚い石灰化が全周性にみられる。
ショックウェーブで処置をした後 。分厚い石灰化にヒビが入っていることが確認できます。
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